米ドル/円相場は、8月8日の1ドル=95.81円をボトムに、97.00~98.50円水準まで小幅切り返している。米量的緩和政策の縮小観測が強まる中、米金利上昇圧力が強くなっていることが、ドル買い・円売りを促している。ただ、リスクマーケット全体の地合が不安定化する中、積極的にドル買い・円売りを仕掛けるような動きも鈍く、大きな値動きには発展していない。
米債券市場では、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)で緩和策の縮小が開始されるとの見方が強くなっている。10年債利回りは7月末の2.6%水準に対して、すでに2.8%台まで上昇しており、2011年7月以来の高水準を記録している。日米金利環境はドル高・円安トレンドを支持しており、単純に金利とドル/円相場との相関だけをみれば、100円台を回復しても何ら違和感のない状況になっている。8月21日に公開されるFOMC議事録(7月30~31日開催分)が9月の緩和縮小見通しを加速させる内容になるのかは疑問視しているが、雇用を筆頭に各種経済指標が景気回復見通しを支持する内容になる中、米金利上昇とそれに伴うドル高圧力にブレーキを掛けるのは難しいとみている。このまま、じり高傾向が続く展開を想定したい。
警戒すべきは、こうした米金融緩和の縮小観測を背景に、株式市場の地合が悪化していることだ。ダウ工業平均株価は約1ヶ月半ぶりの安値圏まで急落しており、金融政策の転換期がリスク資産全体に動揺を誘っている。ボラティリティ指数も7月上旬以来の高値を更新しており、ドル買い・円売りの流れにブレーキを掛ける一因になっている。日経平均株価が比較的健闘していることで、日経平均売り・円買いが本格化する状況にはないが、リスク投資全体の地合にも注意が必要。
テクニカルでは、一目均衡表の雲がある98.75円水準にトライする展開。転換線のある97.25円水準が支持線。サイコロジカルは、前週の3勝9敗から5勝7敗へ。14日RSIは44.84。
今後1週間の予想レンジは、97.25~99.50円。